黒い雨

映画化もされていて、そちらは見ていません。 が、検索して確認した感じとしては、 ヒロインの矢須子さん中心にロマンスもからめているのが映画、 叔父の重松さんの日記がメインになっているのが原作という印象です。 でも原爆の悲惨さを表現しているのは同じようです。 映画も見てみたいですねえ。比較してみたいもんだ。

文章だけなのにおそろしくリアルです。 原爆が落ちた瞬間からあまりのリアルさに恐怖を感じるぐらい。 焼け野原、次々と死んで行く人間、死体がごろごろ転がり、 蛆や蝿がたかり悪臭が漂い続ける。 今回の大震災の津波で壊滅的な被害になり、全てが流され、 沢山の命が奪われた三陸地方の風景が頭からはなれませんでした。 旧かな使いや、まったくわからない漢字が多かったですけど、 あまり気にせず読み進めて行っても問題はなかったです。

本の終盤で矢須子さんの病状があらわれ、 絶望の中にもほんの一瞬の希望を抱いて本は終わります。 矢須子さんがどうなるのか、重松さんたちの生活が今後どうなるのか、 そういったことは読んだ人にゆだねられた形。 矢須子さんは血液の異常があり、白血病のような症状、 重松さん夫婦も被爆していたため、軽症でありながらも原爆症に苦しんでいる。 仲間たちと鯉の養殖をはじめようと動きだした…。 結末はわかりません。すごく色々考えてしまいます。

個人的にはおもしろかったです。 おもしろいっていう表現もいまいち合いませんけど。